今更ながら、先月行った第5回「紗来展」のことについて
少し書こうかと思います。
なんで数週間も経ったこのタイミングで?と、私も疑問なんですけど
なぜか今朝起きたときに、なんとなく
私の中でまだ、あの日に私が何をしたのか、整理しきれてないんだなと思い
あらためて書いてみることにしました。
とはいえ、あの日の私のパフォーマンスが、第5回「紗来展」のすべてですから
こうやって後日いろいろ書くのは、ちょっとかっこわるいなと思うところもあり
ずっとそのままにしてたんですけど
でもやっぱり、書いておくことにします。
来てくれた人も、来れなかった人も、この記事を目にするかもしれませんが
まあ、読み流していただいても結構なので…
長いですし。笑
とりあえず書きます。
7月19日(土)の第5回「紗来展」
この日わたしが作った物語は「デュナと緑の王子」という歌物語でした。
これは昨年末、第5回をやろうと決めたとき、次のテーマカラーは絶対「緑」にしようと思い
そこから、「森」「中世欧州」と、とんとんとイメージがわいて、
欧州の民話のような世界を描きたいと思ってました。
そこで資料を探すうちに出会ったのが、アイルランドの民話
「ショーニーンの竜退治」でした。
この物語の設定にとても興味を持ち、作ったのが「デュナと緑の王子」です。
ざっと話を書いちゃいますと
子どもを身ごもったある女性が、森の中をさまよっている。
もう命が長くないと知った女性は、森のまじない師に助けを求める。
まじない師は、ひとつのりんごを差し出して、その女性に食べさせる。
それは魔法のりんごで、お腹の子どもの命を救うという。
その同じりんごを、森にすむカワセミと、森の外のお城に住む、国のお妃様が食べる。
女性は、男の子を生んだ後で命を落とすが、
カワセミが母代わりとなって、その男の子を大事に育てる。
その子が、主人公「デュナ」
デュナは立派な狩人になり、森でカワセミとふたりで仲良く暮らす。
ところがある日をきっかけに、大切なものを失う…
同じころ、その国の王のもとで争いが起こる。
争いに巻き込まれ、城を追われたのが、その国の王子。
その王子は、あの魔法のりんごを食べたお妃様の息子だった。
王子は逃げる道中で、巨大な森の中へと足を運ぶ。
そこで、デュナと出会う…
と、続くんですけど
そういう、物語。
私はこの物語で、一人の男の子が
喪失と絶望を経験し、
しかし、そこから歩き出す姿を描きたかった。
大切なものが自分の中にあるとき、
いつも思うのは「これをいつ失うのだろう」ということ。
何かを手に入れるということは、いずれそれを失う日が来るということ。
この世界に永遠なんてない。
朝が来て、夜が来て、また同じように朝が来る。
それが100回、一万回、一億回繰り返せば、
たしかにそれは「永遠」だと感じる。
けれど、明日も同じように朝が来る、そんな保証は、ほんとはどこにもないと感じます。
私は、自分の中にうっすらと、でもたしかに、
「永遠」というものを求め、感じていたところがありました。
ずっと続くもの、たしかにそこにあってくれるもの、たしかに自分が信じられるもの
未来を信じさせてくれるもの
それがあったから、生きていられるところがあった。
今は、もう「たしかな」ものはないと、思ってる。
でももう、それに絶望はしていないんです。
なんか、書いてるとすっごく悲しげに聴こえるかもしれないけど、笑
そうではなくて、たしかなものなんて何一つないことが
むしろ、今の私を生かしている。
何せ、本番当日に声が出なくなることもあるくらいだから笑
それでも、まがりなりにも最後まで歌うこともできるわけだから。
この先の見えない未来を、思いきり生きていっていいのだと思う。
「たしかな」ものなんてないから、だから、今起きてることが愛おしいと思う。
今ここにいる場所、今自分がやっていること、今そばにいる人、
それは途方もなく愛おしく、大切で
たとえこれが一瞬のことであっても、
今自分の目に映る世界は、これ以上なく、美しいと思う。
第6回の紗来展をやろうと思います。
時季は、冬になる前、11月です。
今急ピッチで制作準備しています。
ぜひ、みなさんに聴いていただきたい。
今回は、灰色の世界に、一点、
美しい美しい、赤を描きたいのです。
ちなみに、聞かれるかなーと思ってたけど、疑問に思われてる方が少しいるかと思うので
「デュナと緑の王子」の補足なんですけど
なんでデュナの母親代わりになったのが「カワセミ」なのかということ。
ちなみに、カワセミは森には基本いないので。水辺の鳥だから。笑
わかっててなんでカワセミなのかと言うと、
単純に、私のイメージでカワセミ以外いなかったからです。
ありとあらゆる動物は好きですが、鳥、その中でもカワセミは私の中で特別です。
うーんうまく言えないんですけど…
鳥って、表情があまりないように見えるけど
母性や、命の柔らかさ、温かさ、
そして生死も含めた残酷さ、辛辣さ
血の通った、世界の約束事すべて
あの小さな体で体現しているように見える。
それでいて、空を飛ぶんだから。
喜びや悲しみ、絶望、希望、それは人間の感情なんだけど…
鳥はとにかく、美しい。
とくにカワセミは、ほんとうにかわいい。
デュナの母であり、ある意味伴侶のような存在であり、
その小さいけど、燃えるようなぬくもりを表してくれるのは
カワセミしかいないと思ってましたので
そうしました。はい。
ま、単純にとにかく好きなんです。鳥がね。