こんばんは。紗来です。
気づけば、昨日は満月だったんですよね。
しかも月食だったんですよね。
今回は全然見ませんでしたが…
満月と言えば、数ヶ月前にある夢を見て
その夢の内容がとても鮮明で印象的だったので、物語に起こしました。
以前ピンクさつまいものブログでも掲載したのですが、
今日またふと思い出したので、作品の一つとしてしつこく載せてみます。
なかなか長めの文章なので、お暇なときにご一読下さいませ…!
満月の夜のもののけの物語です。
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「満月夜奇譚」
満月の夜のことであった。
ある生き物が、山の小道を登っていた。
それは人間から「もののけ」と呼ばれるような生き物である。
体は熊のように大きいが、全身に毛は無く、皮膚は真っ白であった。
大きな肩に埋もれる頭には、黄色く光る目がふたつ。
二本足でのしのしと歩く。
遠くから見れば人間と見間違うかもしれぬ。
生き物は腹を抱えていた。
そこに子を宿していたからだ。
息は荒く、辛そうに山道を登っている。
月明かりが白い皮膚を照らし出していた。
しばらく行って崖に出た。
生き物は座り込んだ。
これ以上は歩けそうにない。
腹は今にもはち切れぬばかりにふくれている。
生き物は知っていた。
己はもう生きることはできぬ。
己の力ではこの子を生んでやることができぬ。
しかしなんとしても生んでやらねばならぬ。
見上げれば煌煌と輝く満月があった。
月の光か。
ここならば木々に邪魔されず、常に光が当たるであろう。
生き物はそれに託すことにした。
ひとつ呼吸をしてから、生き物は歌を歌いだした。
それは人間には到底聴き取れぬ歌であった。
生き物は事切れた。
子は腹の中ですでに起きていた。
母が山道を登るのを知っていた。
立ち止まり歌を歌うのも聴いていた。
今しがた事切れたことも知っていた。
このまま腹の中にいれば、己は生まれることはできぬ。
子は母の腹を破ることにした。
厚い皮を破ってなんとか外に出た。
見上げると煌煌と輝く満月があった。
子は己の足で歩き出した。
子はその山で生きた。
毎晩月が出れば己が生まれた崖に行った。
母の亡がらは朽ちること無くそこにあり続けた。
月は欠け、ふたたび満ちた。
子はいつものように崖に行った。
そしていつものように遠目に母の亡がらを見た。
しかしその日は何かが違った。
子は母の亡がらに近づき、耳を澄ました。
心の臓の動く音がする。
しかもひとつではない。
二つ、三つ、四つ…五つか。
子は母の腹に触れた。
己が破ったその下のあたり、冷たき白い皮膚の奥に、確かな熱を感じた。
子がいる。
己だけではなかったのだ。
なんとしても生まれさせてやらねばならぬ。
しかし母の皮膚は厚い。
破ることができたのは内側からであったからか。
外からは手出しが出来ぬ。
己の力では子らを出してやることはできぬ。
見上げると煌煌と輝く満月があった。
子は己が生まれた日を思い出した。
あの日も満月であった。
子はひとつ呼吸をしてから、歌を歌いだした。
あの日母が歌った歌であった。
すると母の腹がうごめき出した。
四方八方にこぶのようなふくらみができた。
それがひとつずつはじけるように割れ、己と同じ姿の子らが出て来た。
すべての子が外へ出ると、母の亡がらはゆっくりと横に倒れた。
子らはその山で生きた。
毎晩月が出れば己らが生まれた崖に行った。
しかしもうそこに母の亡がらは無い。
終
お久しぶりです。先日は、ライブに行けず残念でした。
さきさんもまっささんもお互いに忙しく、二人で活動することが少ないみたいで少し寂しいです。
まっさんが夏に舞台出演があるから、仕方ないのですがね。
とがしさん
超お久しぶりです!お元気ですか?!ブログ見てくださってありがとうございます!!
そうですね!まっさの個人活動に触発されて、私も新しい挑戦を始めてみました^^
ピンさつはピンさつで続けていくので、またライブの時はぜひお越し下さい〜!