数日前に読み終わりました。
私は子供の頃から本が好きで、それなりの数の本を読んで来たつもりなんですが
小学生の頃に読んだ、「子牛のハナベエ日記」とか
「くまの子の涙」(どちらも典型的に、泣かせる話なんですが)
中学生の時に読んだ、「人間失格」「アルケミスト」とか
今読んだら、たぶんあんなには感動しないんだろうな。
あの頃の感動は、ちょっとレベルがちがった。
読後、しばらくこっちの世界に戻って来れないような
何やっても、その本のことを考えてしまって、心ここに在らずのような
たぶん昔から地に足がつかずな、逃避グセのある私のことだから
余計に…笑
でも大人になると、ほんとそういうことはなくなった。
いい話、本、映画、漫画、感動するものには結構出会う。
けど、子供の頃に感じたような
感動というより、没入というか、
自分ではどうにもできない、圧倒的な力を持つ作品
そういうものには、とんと出会ってなかった。
…ということに、この本を読んで気付かされた。
というのも、この本は、まさに子供の頃に感じた
衝撃、圧倒的な存在感、陶酔
そういうものを、久しぶりに私に感じさせてくれたので…
この物語は、私が今まで読んだ本の中でも
大切な大切な宝物の部類に入ります。ダントツで入ります。
感想はあるけど、言えば言うほど陳腐になりそう。
とにかく、
主人公のホールデン・コールフィールドが
私にしてみたら、すっごくいとおしく思える。
痛々しくてひりひりして、
求めては壊す、また求める…
バラバラでボロボロに見える彼、
でも、優しい。弱くて、悲しいくらい優しい。
それは私が心の何処かに思い描く少年の像と
かぶる部分が多いんだと思う。
これほど魅力的な主人公像、、、すごいよね。
読みながらずっと、すごく懐かしいものを久しぶりに思い出したような
すごく大切なことを思い出したような
そんな不思議な感覚になってました。
ちなみに、村上春樹さんの訳の方を先に読んだから
今野崎さん訳の方を読んでる。
訳によりけりっていう人もいるけど、なんか、どちらも好きだな。私は。
とにかくホールデンが好きなんだ。笑
さすが、半世紀経っても色褪せない名作。
でもこれ、好き嫌い分かれるんだろうな。
前に、太宰の「人間失格」のオビで
「日本人は二種類に分類できる。
この主人公を、自分だと感じるか、感じないか」
的な文章があった。
(ま、言ってしまえばなんでも二分にできるんですけどね。。)
ホールデンに共感する人と、しない人。
まあ、世界はそれぞれってこと。